FX セミナーは、たとえば円を売って米ドルを買うなど、外国通貨を売買する取引です。米ドルやユーロはもちろん、豪ドル、NZドル、英ポンドなど幅広い通貨を取引できます。通貨には金利(以下スワップポイント)が発生し、通貨の金利差を利用して儲けることができます。たとえば円と米ドルの場合、現状は円の方が低金利です。金利が高いドルを買えば、スワップポイントを受け取れます。反対に、金利が低い円を買うと、スワップポイントを支払うことになります。外貨預金のように金利を受け取れることから、スワップポイントを狙った取引がとても人気を集めています。しかし、前述したようにドル円相場はここ数ヶ月、円高ドル安に動いており、一時25円程度も円高ドル安に動きました。為替が大きく変動することで為替差損が発生し、スワップポイントの受け取りを上回ってしまう事態に陥ることも時にはあるのです。金利収入やデータ復旧だけで儲けられるわけではないことを、常に肝に銘じておく必要があるでしょう。先週の為替・金融・ゴルフ会員権市場では、米国景気の先行きに対する見方が強弱交錯しているのが目立ちました。強気派は、2004年度の米国のGDP成長率が4%台後半となり、金融引き締めサイクルに入ったFRBのもとで米国金利が上昇すると見られることに着目します。反対に弱気派は、一向に改善する気配の見えない米国の「双子の赤字」を最大の理由とする場合が多いものの、それに加えて少し違った理由も出てきました。米証券大手のゴールドマン・サックス社は9日付けで、2004、2005両年の米経済成長率の予測を引き下げ、インフレ率予想を引き上げる方向で、見通しを修正しました。その要旨は、米国の生産性が低下し、その結果成長が抑えられる一方で原油価格上昇に見られるようなインフレ圧力を吸収できなくなる、というものです。高い生産性に対する楽観的な見方は、インフレを伴わずに高い成長を達成できると考える、FRBの重要な拠り所です。これに基づき、FRBは年末に向けて小刻みな利上げで市場をコントロールしていく意向であるというのが、大方のコンセンサスです。これに対しゴールドマン社は、米国企業の生産性はすでに低下をはじめており、これが物価に影響を与えるために金利は高止まりせざるを得ず、これが成長を妨げると見ています。ミシガン大学による6月の調査で、企業の期待インフレ率が上昇していることにも言及しています。一方、日本については概ね強気の見方が支配的です。先日発表された短観も、目の覚めるというほどではなかったにせよ、予想を上回るものでした。製造業の大企業における景況感の改善が目立ち、電気機械や鉄鋼では大企業の業況改善が中小企業にも及んでいることが明らかになりました。企業利益の増加基調は、製造業、非製造業ともに続いています。しかしその割には、選挙を控えていることもあり株価に元気がありません。外国人投資家は日本株を4週間連続で買い越しており、その総額は約9200億円に上るにも関わらず、この間に日経平均は1万2000円を前に足踏みし、円相場も1円程度の円高にとどまりました。こうした動きを見て、榊原英資元財務官は、「もう円高は終わり。秋から年末にかけて120円方向」と、あっという間に「100円説」から宗旨替えしてしまいました。その大きな根拠は「景気回復を示す指標が続く中であれだけ強い短観が出て、それでも円高が進まないのだから、これまでの円高サイクルは終わり」ということに尽きるように見えます。予想が当たるかどうかは別として、これは非常に現場的な考え方です。何よりも「100円」の予測はたしか日本のGDP上方修正を受けてのもので、その時の円相場は109〜110円でしたから、その時にドル売りポジションを作ったとして、今買い戻せばほとんど損はしません。このあたりは、現場のディーラーにとって非常に大切なことです。常に勝たなくても、負けを最小限に抑えて、次にそれ以上勝てばいいのです。話が少しそれてしまいましたが、円相場はまだ一つの方向性に賭ける段階に来ていないと見た方がいいと思います。景気回復を裏付けるデータは毎日のように発表され、日銀の超低金利政策は「出口」を探る段階に来てはいます。しかし日銀が出口への道筋を示すのに躊躇していることが、日本経済が未だに抱える脆弱さを示しています。日本には常に巨大な貿易・経常黒字という円高要因があることに加え、少し株価がしっかりしてくると、株価の「右肩上がり」期待が外人買いの連想となって円高・株高論につながりがちですが、実際はそう簡単ではなく、そうした期待は何度も裏切られてきました。今回の景気回復局面では、リストラが一巡した企業の収益回復から、ようやく消費が盛り上がりを見せる段階に来た一面も見えています。その意味で、前回も触れたように、景況感が円高要因であるというのは恐らく正しいと思います。それは米国も同じことで、ドルは買われてもおかしくありません。よく注意して為替相場の記事を読んでいると、最近は弱い景気指標でドルが売られるのは、たいていテロ関連の悪材料もある場合です。予測に程度の差はあっても、米国経済は4%そこそこの成長を達成するというのはコンセンサスで、これが上ぶれするような数字が出たときにはドルが買われる一方、弱い数字はそれだけでは材料になりにくくなっています。為替というのは相対的な価値を問う商品ですから、世界同時景気回復というような局面では、そのスピードにはっきりした差がなければ、景気で為替の方向性を決めるのが難しいのは当然とも考えられます。そしてこういう時は、市場は常に何か別の材料を探し、そこに新たな流れのきっかけを求めようとします。アメリカにとってそれはテロであり、大統領選挙の動向でしょう。そして日本では、やはり今日の参院選を格好のきっかけにしたいと、榊原さんならずとも多くの市場参加者が期待しているはずです。